4限の4年生の卒業研究では斉藤環さんの「「キャラ」化する若者たち」を読みました。

 午後は3限の演劇論ではアイスキュロスの「オレステイア」三部作に付いて語りました。アガメムノンの墓に詣でた娘のエレクトラは自分の悲劇を嘆き、赤子の時に他国に逃がしておいた弟のオレステスが早く戻って父の仇を打ってくれることを願う。そこに成人したオレステスが姿を現し、姉弟は感激の再会をする。彼は仇討ちをせよとのアポロンの神託を受けて密かに帰国していたのだった。オレステスは自らの「死」を報告する旅人になりすまして王宮に入り込み、アイギュストを暗殺し、必死に命乞いをする母のクリュタイメストラを殺す。と荒筋を紹介してから第三部「慈しみの女神たち」では、母殺しの罪を宗教的にはデルポイで浄められたオレステスが法の上で裁きをアテナイの法廷において受ける。母親の血を流した罪を訴追するのは復習の神エリニュスであり、父親の仇討ちを命じたアポロンは彼の弁護を引き受ける。4限の4年生の卒業研究では斉藤環さんの「「キャラ」化する若者たち」を読みました。幸せの青い鳥を求めて旅に出たチルチルとミチルは自分のすぐ傍に青い鳥を見つけることができた。本当の自分を求めた若者はそれを見つけることができず、手に入れたのは「キャラ」という名前の仮面だ。それをかぶることで自分の居場所を確保することができたが、いつのまにかその仮面が外れなくなっている。自分が他の人と取り替えのきかない存在であるということ、別の世界を想像することで、私が取り替え可能な存在になってしまうこと、など自己の存在に対する固有性と必然性への信仰を失った現代社会では個人は取り替え可能な存在として匿名化され、世界は複数化してしまう。と有りなかなか難しい問題でした。学生諸君の近況を尋ねたら4月に入って雨ばかりで、テニスが出来なくて困っていると言う人がいました。就職活動が本格化してきたため、忙しくなって大変です。イチゴ狩に行ってきたと言うものもいて4年生の生活は多種多様の生活を送っているものだと思いました。(4年生のゼミではルノワールの絵画を紹介するDVDを30分ほど見ておきました。)