文学の授業では「『道草』を読む」と題してお話ししました。

 11時32分の各駅停車東京行きで移動を開始しました。車中では幸い座席を確保できたのでドミニック・ローホーさん『「限りなく少なく」豊かに生きる』(講談社)を読みました。その中にこんな言葉が有ります。「海岸で拾う小石は確かに美しいかもしれません。でも、そこから説教を引き出そうとは誰も思わないでしょう。「心の安らぎのために、こうして美意識を養うべきだ」と考える必要もまったくありません。実は、そこでなすべきことは「何もない」のです。このように何もせずただ自然と向き合うというのも、素晴らしい経験です。」と有りました。南越谷で下車して東武スカイツリーラインの11時54分の南栗橋行きに乗り大学には12時10分に着き2限の終了のチャイムが鳴ったところでした。12時45分にティーチング・アシスタントのS君がやって来て、教育支援課で13101大教室に鍵を借りて教室に向います。文学の授業では始めに文学のレポートの課題を発表しました。A4紙2400字以上で纏めると言うことをお話ししました。それから「『道草』を読む」と題してお話ししました。柄谷行人氏のハンドアウトに沿って、お話しました。『道草』は、ネガティブな面を集中的にとりあげている。彼をあたたかく受け入れてくれる人間は一人も登場しない。人間関係はすべて酷薄である。そして、主人公自身が他人に対して心を閉ざした偏屈な人間として描かれているとお話ししました。養父母との関係もダブルバインドの状況に有ったこともお話ししました。帰路はランボー読書会の相棒のFさんとお会いしました。3駒の授業を終えて帰るところでした。帰路はうらわ美術館で「幕末明治の浮世絵展」を観賞しました。歌川重宣の「江戸名所品川沖千狩之図」は潮干狩りをする女性たちの姿を描いたもので背景には青い海と空が見えます。女たちは楽しそうに笑っていて、楽しいレジャーだったことがよく分かりました。歌川国芳の「無題(頼光三天王囲碁図」は三人の男が囲碁を楽しんでいる構図で、化け物たちが邪魔をしているのに物ともせずに碁を打っている何とも豪快な絵でした。歌川芳盛の「風流人形の図」は猿田彦と天の天ノ臼の命を描いたもので左には天ノ臼が居て右には猿田彦を配置してユーモアに富んだ画面でした。芳年の「月百姿石山月」は紫式部石山寺を描いたもので、紫式部が『源氏物語』の構想を練ったという伝承が残っているそうです。井上探景の「磐梯山噴火の図」磐梯山が噴火している画面で、明澄な画風で噴火の様子を描ききっていました。(写真はマルク・シャガールの「小牧場の春」です。)