3限の文学では「夏目漱石研究完全版」と題してお話ししました。

 11時52分の各駅停車東京行きで移動を開始しました。車中では幸い座席を確保できたのでドミニック・ローホーさんの『人生で大切なことは雨が教えてくれた』(幻冬舎)を読みました。その中にこんな言葉が有ります。「今、生きている自分を客観的に見つめてみる。この行為を雨の日にしてみると、自分の心の窓を自分自身に、そして世間に開くことが可能になる。その時に得た確信は「幸福」の備蓄にとなる。ここで今一度「幸福の鍵」となるものが自分の「外」にではなく内面にあることに気付くのだ。ところで人間の「心」もこの雨とさほど変わらない。同じように意味もなく美しいという点で。」と有りました。南越谷で下車して東武スカイツリーライン12時14分の東武動物公園行きに乗り北越谷で下車して大学には12時30分に着きティチイング・アシスタントのS君と別のS君がやって来て今日はレポート回収を手伝ってくれる予定です。3限の文学では「夏目漱石研究完全版」と題してお話ししました。夏目漱石の晩年に至る小説的実験はまさしく「小説の約束事を破ること」に成り立っている。プロゾポヘと言うレトリックに付いても紹介しました。「不在者・死者・動植物・事物に語らせる一種の活喩法と宇佐美斉先生の言葉を引用して説明しました。それから大江健三郎の『取り替え子』では「田亀」と言うテープレコーダーが出てきて塙吾郎との会話が成立させる場面が素晴らしいと語りました。夏目漱石の作品の多くはオープンエンドで終わる作品が多いこともお話ししました。漱石はいち早くポストモダンの世界に遊んでいたのでしょうかと言う所で私の話を終わりにして「美しきドナウ「船と鉄道の旅」を観賞しました。帰路は青空が広がって気分が良いですね。帰路は北浦和の県立近代美術館を訪問して「MOMASコレクション2」を観賞しました。パウル・クレーの「古代風の二重肖像」が有り裸の女が突っ立っていて、豊満な体をしています。古賀春江の「コンポジション」は玩具のような物体が有り目と鼻が付いています。パブロ・ピカソの「静物」はテーブルの上に紅茶セットが置かれ、ローソクがそれを照らしています。ジュルジュ・ルオーの「横向きのピエロ」にはいつもその宗教性に打たれます。(写真はジュルジュ・ルオーの「横向きのピエロ」です。)