山種美術館で「前田青邨と日本美術院−−大観・古径・御舟−−」を観賞しました。

 午後は12時1分の快速新木場行きで移動を開始しました。車中では幸い座席を確保できたのでドミニック・ローホーさんの『屋根一つお茶一杯』(講談社)を読みました。その中にこんな言葉が有ります。「沈黙は、精神科医ユングにとっては宇宙との融合を意味していました。沈黙を愛する理由はほかにもいくらでもあります。働きすぎや疲労困憊のとき、私たちを安らぎの世界へ誘い、守ってくれるのがこの沈黙です。沈黙を保ち、その中で私たちは、周囲や自分に捧げるために必要な資源を汲み上げるのです。また、この沈黙の中でのみ、自分の姿を見つけだし、創造力や哲学的思考を養い、新たな自分に生れ変わることができるといっていいでしょう。」と有りました。恵比寿で下車して山種美術館に向います。山種美術館で「前田青邨日本美術院−−大観・古径・御舟−−」を観賞しました。地下一階の会場に入ると前田青邨の「異装行列の信長」が有りパネルに寄ると「若き織田信長が妻の父である斉藤道三のとの体面に向う姿を描く、信長は奇抜な振舞いで知られた、この日も髪は茶筅のように結い、湯帷子の袖を外し、火燧袋や瓢箪を付け、虎と豹の皮の半袴を穿いてやってきた。ところが到着するとすぐに正装に着替えて登場し、道三たちを感心させたという、なかなか立派な話でした。橋本雅邦の「日本武尊像」は松の下に立派に立っている日本武尊像で大地をしっかりと踏みつけていました。橋本雅邦の「一葉観音」は穏やかな表情をした観音様で落ち着き払っています。小堀鞆音の「那須宗隆射扇図」は那須宗隆平氏方の舟に乗った女房の扇を射落としそうと狙いを定めている所でした。小林古径の「草合わせ」は二人の少女が採集した草の種類や計上などによって優劣を競う遊びで、左の少女は薄絹の来て、右の少女は十二単の様なものを着ていました。古村古径の「弥勒」は岸壁に弥勒の像が立てられていて上には松が有り下には白い花が咲いていて一服の清涼感を感じたものでした。奥村土牛の「子牛」はしっかり踏ん張った子牛の姿でユーモラスな作品でした。前田青邨の「鶺鴒」は海を飛び越えている鶺鴒が一匹居てなかなか勇敢だと感じたものでした。月岡栄貴の「鉢かつぎ姫」は鉢を被ろうとしている姫の姿で長い髪を伸ばしています。山種美術館コレクションに入ると速水御舟の「炎舞」が有り友人の岩佐倫太郎君の『印象派琳派がわかれば絵画が分かる』(舵社)で何度も見ているのですが、実際に見るのはこれが始めてなので、嬉しくなったものでした。