「泉鏡花の花柳小説を卒論でやりたい」

台風の接近でかなりの雨が降っています。大きな傘を差して大学に移動しました。今日はさすがに3号館7階の研究室棟もひと気がなく、登校しているのは私とA先生ぐらいです。一週間の疲れが溜まっているので今日は石川淳丸谷才一杉本秀太郎大岡信の『浅酌歌仙』(集英社)をゆっくりと読んで楽しみました。・・・研究室で楽しい時間を過ごしていたら、4年ゼミ生のKさんがひょっこり顔を見せました。このところ教育実習に出掛けていてゼミには欠席が続いていたので私も少々心配していたところです。「介護実習ノート」に私の署名と印鑑が必要でやってきたのです。卒論の進捗状況を尋ねたところ、テーマを変更したいと言うので驚きました。Kさんは日ごろから和服が好きでご自身も良く和装をするらしいのです。着物の雑誌に目を通しているうちに、何かのきっかけで泉鏡花の小説を知り、「今、はまっている」と言うのですね。「泉鏡花の花柳小説を卒論でやりたい」と断固とした口調で言うのです。以前書こうと思っていたテーマではどうしても「調べ型」の卒論になってしまいそうなのも限界に感じた様子です。締め切りまでの時間が心配ではありますが、本人の「切実さ」を優先することにしました。