3限のヨーロッパの文学ではフロベールの『ボヴァリー夫人』に付いてお話ししました。

 3限のヨーロッパの文学ではフロベールの『ボヴァリー夫人』に付いてお話ししました。年下の青年との逢い引き。三十年も相手を思い続けながら結ばれない二人−フロベールの小説は多くのラヴシーンに彩られつつも愛の成就を拒否した「反恋愛小説だった。フロベールと同年生まれの詩人ボードレールによれば、エンマ・ヴォバリーは「愛らしい女性の肉体」に「男性的な魂」を宿した「奇妙な両性具有者」なのだという。フロベールの登場人物は性の境界が曖昧だけだというだけの話しではない。どうやらこの作家にとって、ヒロインを描くことは女の奥深い吸引力に魅せられた男の視点を代行することでもあったらしいのだ。大好きな『感情教育』の荒筋も学生諸君にお話ししておきました。フレデリックは故郷に帰る船の上でアルヌー夫人に出会い一目で恋に落ちてしまい、法律家として生きる野望も虚しく挫折して、けれどもアルヌー夫人の思い出は清いままに残るのですね。フロベールが「小説は科学的でなければならない。」などの自己完結した一個の完成した小宇宙(作品)を想像したフロベールのことをお話ししておきました。残り時間でイザベル・ユペールボヴァリー夫人を演じるDVDを観ておきました。
 4限のフランス語6ではブラッドリー・ジョン君とルール・カロリーネさんと『星の王子さま』を原文で読みました。15章の地理学者の住む星の話しです。王子さまは「ぼくの星はそんなにおもしろい星じゃありません。とってもちいさいんです。」と言います。「それから、お花もあります。」と言います。地理学者にとって「花ははかないものだから」記録しないと言うのですね。「ぼくのお花はもうじき消えてなくなるんですか?」花にたいする後悔の念がわいてきたところまで読んで地理学者の勧めで地球に辿り着くところまで読んで、クリムトの絵画を紹介するDVDを観て授業を終えました。(写真はマルク・シャガールの「婚約者」です。)